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2004年06月 アーカイブ

2004年06月23日

第一話:とうとう開始!(しなくちゃいけないよね〜?)

hitorin.comがM2のちのちゃんをリーダーとして、新装開店して1ヶ月。

中川研究室の学生や内留の先生による「研究室日記」も盛況を見せている。

そうなると、

「研究室日記はスタートしたのに、どうして先生のこのページはスタートしないんですか?」

「毎日更新されないこのページを見てはじまるのを楽しみにしています」等々、言われ続けて1ヶ月。

そろそろ腰をあげないとなぁと思い、よくよく考えてみると、

学研NEWの連載「ちょっと言わせてもらおう」は『hitorin.com発』とうたっているではないか!にもかかわらず、このhitorin.comからはこれまで何も発していない。逆に、バックナンバーを学研NEW編集部の好意でここに掲載させてもらっている始末だ。

ということで、ようやく重い腰を上げた。

しかし、このページはけっしてデイリー(日記)にはしない。それは続かないし、私の芸風に反する。書きたいときに気ままに書くのが中川流だ。

あくまでも、上記「言わせて」を本当にhitorinn.com発にするその素を綴るページにしたい。

ずっと書かない日が続くこともおおいにありうる。

それにしても、続かなくなったら叱咤激励をよろしく。

2004年06月24日

第二話:海外出張に出るということ

現在、ED-MEDIA2004という国際学会の発表でスイスに来ている。
今回は、東北学院大の稲垣とうちのM2の小林との共同発表だ。
内容は携帯電話の活用に関する子どもたちの受容意識の分析だ。
スイスと言っても、ミラノから電車で1時間のルガーノというリゾート地だ。
メニューもテレビもみんなイタリア語。食事に必要な品目のスペルだけようやくわかる程度だ。
そういえば、さっきテレビをみていたら、サントリーの「燃焼系」のCMをイタリア語でやっていた。なんとも変な感じ。
ホテルのまわりは総菜屋さんや果物屋さん、ホテルや高級ブティックが混在していて、何度歩いても飽きない。
さて、今回の目的はもちろん学会発表と参加だ。自分の研究テーマに関係ある内容も探したいと思っている。
しかし、海外出張には他の目的もあり、そちらの方が大きい。
それは、「誰にも邪魔されずにじっくりと仕事ができる時間を確保する」ということだ。日本にいると、どうしてもこれはかなわない。「1週間、私は山にこもります」というわけにもいかないからね。そんな中、海外出張は学会参加の時間をさしひいても、たまった原稿をたくさん書け(今回は書きかけを8本持ってくるはめに)、数多く抱えているプロジェクトや協同研究の構想の練り直しや進み具合の確認をじっくり行える。ちなみに、 D-proの現在の形(フェーズ2)を構想したのもニュージーランドの学会の時だ。さすがにメールは毎日300通くらい来るので、どこにいても読んで出していかないととんでもないことになるので仕方がないが。
ということで、年に2回は海外出張が必要だ。

いや、学会発表だってば。

2004年06月27日

第三話:中川流校内研究授業整理会の試み

学会発表は無事終了。反響があってまずは成功。携帯を活用するというネタが興味をひいている。さすがに携帯を学校で活用するという試みは、興味をもってくれた参加者の国(中国、台湾、カナダ、ケニア、オーストラリア、スイス、フランスなど)ではまだないようだ。もっとも日本でも教育現場でのモバイル環境の検討はこれからだろう。特徴を活かし学習活動にどうむすびつくのか、ふみこんで考えないと意味がない。今回の学会では、見つけた!と思ったら日本の例(長崎大学)だった。我がプロジェクトでは、授業事例の分類や子どもたちの意識の変容、教師の活用場面での配慮点など、起こったことを分析・調査している。それに対して、前出の長崎大学グループは携帯上で子どもたちが使える動植物のコンテンツを作成・提供している。研究対象が微妙にちがうので、今後どこかでリンクしてもおもしろいかもしれない。

さらに、一度フィンランドにも行く必要があるかも。

スイス最終日は、ルガーノから電車で1時間足をのばして、山内さん@東大、宇治橋さん@NHKたちとミラノ(写真)へ。歴史の重みを感じる街だが、さすが観光客が多い。ルガーノでは、我々以外あまり日本人はみかけないのに。



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辻さん(大野町小)のHPにも中川研究室日記にも載っているが、6月18日に金沢市立大野町小学校の校内研究会があった(これから書く内容はこれらもあわせて読んでいくと、よりよくわかる)。授業者は講師の室谷さん。学校規模の小さい大野町小では、講師といえども授業公開の順番がまわってくる。でもそこがまたイイと思う。

誠実な授業ぶりにも好感がもてた。

教師集団の雰囲気も良好で、授業後も暖かくも厳しい指摘が飛び交う。

そんな中、定期的にこれから入ることもあり、今回から新しい試みを取り入れた。

授業を見る前に入り口で2色の付箋紙を校内の教師に配る。青は「なるほど!」、赤は「これは、、?」という内容を気づいたままに書いていく。必ず全員何か書く。1回の付箋紙には1つの内容のみを記入していくのが唯一のルールだ。これを終了後、模造紙に貼り、研究リーダーを中心にカテゴリー分けしていく。

さて、このやり方にどのような意味があるのだろうか?

私は以下の4つをあげたい。

1)整理会を印象批判に終わらせない。

さきほどの付箋紙で貼られたもの「のみ」をもとに、議論していく。ここが大事。あとから主観的な感想は受け付けない。その時みんなで書いたもので勝負する。それがたりなければ、見方がたりないのだ。

2)今日の授業で何が起こったか、たくさんの眼で授業を立体的に見ることができる。全員が書いているので、全員が発言するハメになる。全員が書くことにより、むしろ見た側の参観者の勝負になるのだ。付箋紙もなんとなく書いていても、青に書いた理由、赤に書いた理由をふりかえって述べなければならない。

3)カテゴリー分けを行うことにより、授業者は自分が行った授業の観点を振り返ることになる。また、原則として交通整理をするファシリテーターは研究主任(研究リーダー)にやってもらう。普通の授業後の整理会とちがって、観点を整理し、何が課題になっているのか、瞬時に判断し進めていかなければならない。研究主任(研究リーダー)にとっては、そういう鍛えになる。(大野町小では、今後も辻さんにこの役をずっとやってもらう)

4)この方法をとると、助言者による一方的な大岡裁きにならない。よく最後に指導主事や大学教官が出てきて、良かった悪かったを言われて一喜一憂している姿を見る。でも、最終的には校内の教師集団がどのように授業を見る眼をつけていくかが問われなければいけない。そのような意味で、この方法は良いと思っている。あくまでも主役は授業者を含めた校内メンバーのはずだ。



タイトルに中川流と書いたが、もちろんこのような方法でやっている学校もあるだろう。あえて中川流というならば、議論の最中に私がファシリテーターやメンバーに、木を見て森が見えなくならないように、つっこみをいれることかもしれない。

有田さん(鳥取)から中川研究室日記の方に「この方法の適性人数は?」と質問がきているが、これはやりかたにもよるだろうが20人が限度か。もちろん、観点別の分科会形式にしたり、観点整理までをやってあとは全体討議形式にしたりするとその人数は20人の限りではない。

いずれにしても、校内の授業検討ではいろいろな方法を試してほしい。

2004年06月30日

第四話:情報モラルについての対談

スイスから帰ってきてなかなか休ませてくれない。月曜日にさっそく東京でいくつか仕事。
中でも、8月に行われる松下教育研究財団の助成に関する成果報告会のコーディネート打ち合わせがあったが、今年新たな試みを入れるのでとても楽しみだ。昨年助成を受けた人たちと今年受けた人たちが入り乱れての1日になりそうだ。

その後、日本教育新聞社本社で、連載している「情報活用推進室Vol.7」の対談収録。
ゲストは、コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕氏。久保田氏は大変バイタリティがあり魅力的な方だ。
さて、今回のテーマは情報モラル。
久保田氏の持論として、情報モラルを1つの森に例えている。この森には、「知的財産権(著作権を含む)」「個人情報やプライバシー」「コンピュータセキュリティ」「情報リテラシー」「マナーやルール」という木がある。これらは1本1本の木であるけれど、根が複雑に絡み合うことによって森全体が守られている。つまり、著作権だけを取り上げて子どもたちに伝えるのでは不十分だと説く。

まったくその通りだと思う。教師の側で、根がからみあっていることを理解できないと、授業で扱ってもトンチンカンな扱いになるし、第一ここが学びの場面!という個所を見逃してしまうだろう。

この対談で私が主張したことは大きく2つ。

上記に関係して言うと、何もわざわざ「さぁ今日は情報モラルの時間です」とカリキュラムに組まなくても情報モラルを子どもたちに考えさせる場面は普段の学習活動、生活場面にたくさんころがっている。つまり、「普段の情報モラル感覚が教師に大事」だということだ。

もう1つは、何か問題が起こったときに、それを規制するだけではなく学びの素材として取り上げてほしいということ。くさいものにフタをすることで問題解決という風潮はもうやめてほしい。特に子どもたちが現在あるいは今後触れることの多いもの・ことは学校教育の中で授業の中でおおいに取り上げていくべきだ。



くわしい内容については、後日、日本教育新聞紙上にて。

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