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第三話:中川流校内研究授業整理会の試み

学会発表は無事終了。反響があってまずは成功。携帯を活用するというネタが興味をひいている。さすがに携帯を学校で活用するという試みは、興味をもってくれた参加者の国(中国、台湾、カナダ、ケニア、オーストラリア、スイス、フランスなど)ではまだないようだ。もっとも日本でも教育現場でのモバイル環境の検討はこれからだろう。特徴を活かし学習活動にどうむすびつくのか、ふみこんで考えないと意味がない。今回の学会では、見つけた!と思ったら日本の例(長崎大学)だった。我がプロジェクトでは、授業事例の分類や子どもたちの意識の変容、教師の活用場面での配慮点など、起こったことを分析・調査している。それに対して、前出の長崎大学グループは携帯上で子どもたちが使える動植物のコンテンツを作成・提供している。研究対象が微妙にちがうので、今後どこかでリンクしてもおもしろいかもしれない。

さらに、一度フィンランドにも行く必要があるかも。

スイス最終日は、ルガーノから電車で1時間足をのばして、山内さん@東大、宇治橋さん@NHKたちとミラノ(写真)へ。歴史の重みを感じる街だが、さすが観光客が多い。ルガーノでは、我々以外あまり日本人はみかけないのに。



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辻さん(大野町小)のHPにも中川研究室日記にも載っているが、6月18日に金沢市立大野町小学校の校内研究会があった(これから書く内容はこれらもあわせて読んでいくと、よりよくわかる)。授業者は講師の室谷さん。学校規模の小さい大野町小では、講師といえども授業公開の順番がまわってくる。でもそこがまたイイと思う。

誠実な授業ぶりにも好感がもてた。

教師集団の雰囲気も良好で、授業後も暖かくも厳しい指摘が飛び交う。

そんな中、定期的にこれから入ることもあり、今回から新しい試みを取り入れた。

授業を見る前に入り口で2色の付箋紙を校内の教師に配る。青は「なるほど!」、赤は「これは、、?」という内容を気づいたままに書いていく。必ず全員何か書く。1回の付箋紙には1つの内容のみを記入していくのが唯一のルールだ。これを終了後、模造紙に貼り、研究リーダーを中心にカテゴリー分けしていく。

さて、このやり方にどのような意味があるのだろうか?

私は以下の4つをあげたい。

1)整理会を印象批判に終わらせない。

さきほどの付箋紙で貼られたもの「のみ」をもとに、議論していく。ここが大事。あとから主観的な感想は受け付けない。その時みんなで書いたもので勝負する。それがたりなければ、見方がたりないのだ。

2)今日の授業で何が起こったか、たくさんの眼で授業を立体的に見ることができる。全員が書いているので、全員が発言するハメになる。全員が書くことにより、むしろ見た側の参観者の勝負になるのだ。付箋紙もなんとなく書いていても、青に書いた理由、赤に書いた理由をふりかえって述べなければならない。

3)カテゴリー分けを行うことにより、授業者は自分が行った授業の観点を振り返ることになる。また、原則として交通整理をするファシリテーターは研究主任(研究リーダー)にやってもらう。普通の授業後の整理会とちがって、観点を整理し、何が課題になっているのか、瞬時に判断し進めていかなければならない。研究主任(研究リーダー)にとっては、そういう鍛えになる。(大野町小では、今後も辻さんにこの役をずっとやってもらう)

4)この方法をとると、助言者による一方的な大岡裁きにならない。よく最後に指導主事や大学教官が出てきて、良かった悪かったを言われて一喜一憂している姿を見る。でも、最終的には校内の教師集団がどのように授業を見る眼をつけていくかが問われなければいけない。そのような意味で、この方法は良いと思っている。あくまでも主役は授業者を含めた校内メンバーのはずだ。



タイトルに中川流と書いたが、もちろんこのような方法でやっている学校もあるだろう。あえて中川流というならば、議論の最中に私がファシリテーターやメンバーに、木を見て森が見えなくならないように、つっこみをいれることかもしれない。

有田さん(鳥取)から中川研究室日記の方に「この方法の適性人数は?」と質問がきているが、これはやりかたにもよるだろうが20人が限度か。もちろん、観点別の分科会形式にしたり、観点整理までをやってあとは全体討議形式にしたりするとその人数は20人の限りではない。

いずれにしても、校内の授業検討ではいろいろな方法を試してほしい。

コメント (10)

学会発表お疲れさまです。(原稿執筆も?)
そうだ携帯だ!と、今思いつきました、というかつながりました。拙ページ鳥図鑑の携帯コンテンツ化を試みます。さすが中川先生、ひとりごとの中にヒントとメッセージが盛りだくさんです。
付箋紙の授業整理会、これも絶対おすすめですよ。みなさん!

よねだ 大阪:

意見交換会で早速 やってみます。
また 報告させていただきます。

匿名:

タイトル : KJ法
日曜参観で同和教育についてだった。公開授業自体は出番はなかったので、いろいろと他...more

中川妹@広島:

中川先生、学会発表お疲れさまでした。付箋紙の使い方については、先日、村川先生@鳴教大の書かれた文章(社会科・生活科 授業の探究33)を読んだばかりだったので、あっ!と思いました。それには、生活科の評価カードとして、「青は信号機のゴー、赤はストップを表す」とありました。まずは授業で取り入れてみたいと思います。

 本校に来て3年目。ここでも研究主任をさせていただきました。
 月1回の事後研は付箋をつかった整理からスタートします。そこで授業者が意図を説明したり,質問したりと活気あふれる感じです。しかし,つっこむ人がいない(私にはその力が・・・)ので深まりという点では苦しいです。数を重ねていくことで飽きも出てくるかも知れません。

 ともあれ,大岡裁き的な職員研修からはカイゼンされつつあり,全職員の発言数も増え好評です。

 研究主任としてここから先,一層のカイゼンを図っていかなければ(先生方の意識を)。

林:

中川流校内研究授業整理会のアイデア、早速、明日の校内研で使わせていただきます。今日の研究推進委員会で話題を出してみたところ、研修会の活性化と深まりに役立ちそうだということでトライしてみることになりました。付箋は7.5㎝四方の正方形タイプのもの。初の試みなので、今回は赤、青2色でなく、ピンク1色のみで行ってみます。最大の問題点は、ヘボ研究主任(私ですが・・・)がちゃんと交通整理できるかどうか、というところです。

hori:

なるほど。ちょうど事後研修会の持ち方で悩んでいたところです。
いつも大岡裁きに担ぎ出される私に光が見えました。事後研修会の翌日から「じゃあ わたしも」と思えるようなものにしたいと思っています。

tanapon:

確かに、交通整理する者の力量が問われそうです。力を付けなくては。

ほりさわ:

どこかで見た風景!と思ったらミラノじゃないですか!
イタリア語だったら,ちょっとは話せるのに・・・。
海外出張なんて夢のまた夢・・・。
ところで,付箋紙ネタ!いただきます。今度の研究授業で使ってみます!(そんな権限はないのだけれど,やっちゃいます!)
では・・・。

中川先生、質問に答えてくださってありがとうございました。研究会前日に付箋の話をして、賛同してくださる先生もあり研究主任さんも「ふうん」と乗り気だったのですが、当日は普通の研究会になってしまい、焦点がずれたまま話し合いが進んでしまいました。「はい、付箋です!!」ってわたさなかったのがまずかったかぁ。

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2004年06月27日 23:25に投稿されたエントリーのページです。

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