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第五十一話:倉吉東中が躍進する秘密はどこにあるか

現在、私が定期的に校内研究の指導・助言にかかわっている学校は20校(と言っているうちに、神奈川県相模原市の情報教育推進の小学校が今後増えそうだ)。その中でも中学校でありながら、職員全体が情報教育の実践研究をしっかりやって成果をあげている学校がある。それが鳥取県倉吉市立東中学校だ。

何よりも校内研究はいつも真剣そのものだ。先日は運動会1週間前で練習後にもかかわらず、それぞれの学年からの提案があり、議論がくりひろげられた。当然教科はそれぞれだが、他の教科の授業の進め方も情報教育にひきつけてどんどんみんなでアイディアをだしていく。いつもいつも校内研究会は笑いがあり雰囲気も良い。前向きなこの学校のパワーの源は何なのか。

いろいろあげられるが、私は主に3つあると思う。



1)教師一人ひとりの授業への熱い思い

これまで何度も東中に行っているが、何といっても、より良い授業がしたい、という一人ひとりの教師の思いをいつも感じる。校内研究会では一度に3,4人が授業を公開し、放課後検討会になるが、妥協せずに物事が言える雰囲気がこの学校にはある。

2)管理職の柔軟さ

校長は本校の生徒や教育そのものに良いと思うことはすぐに取り入れる。授業にプラスになるような外部の協力はすぐにお願いする。校内の教師のためになるような研修にはきちんと本務として派遣する。

3)研究担当(兼・情報担当)リーダの巧妙な戦略

担当リーダーの岩崎教諭のコーディネーションは見事というほかない。

たとえばIT活用について、以下のようなことをじわりじわりとやってきた。

その1:ボトムアップ的攻略

岩崎教諭によると、「階層のある販売員システム状態」だという。

「ちょっとスキルがある人にソフトやネットワークの便利さをとにかく宣伝する」ことを発信源がやり、それを3人に知らせるとソフトやネットワークの活用場面が3倍人目に触れる、ということだそうだ。確かに東中では、たくさんの教師が活用する場面を見ている。

その2:トップダウン的攻略

「研究主任になる。そして学校の研究に情報教育を組み込んでしまう。

・それによって教師の授業力がアップする。

・それによって生徒の学力がアップする。

・心配されるスキル面などのフォローは誰々がしてくれる。

もたらされるメリット、心配されるデメリットの解決法を明示する。」(岩崎教諭:談)

まさに本人は有言実行だ。

その3:外堀埋められ的攻略

「校務にIT活用を組み込んでしまう。大多数の人がこりゃ便利!と思うようなシステムを導入すれば、使わない頑固少数派も外堀が埋まってしまったので観念して使います。その時に一番洗脳するのは管理職。管理職が使って、さぁみんなも使いましょうとアナウンスするようになればしめたもの。おれは使わない!と言うことは職務放棄に値するのでそうそう頑固者でない限りはしばらくすると落城すると思います。」(同教諭:談)

朝の職員打ち合わせの一部は完全に校内ネットワークの掲示板で行うようになった。その時間を生徒とかかわる時間に充てている。

後半部分はさきほど指摘したような管理職だからあてはまるという部分もある。頑固者管理職にはまたちがう攻め方が必要になるだろう。

それ以外にも、あまりにも逆にITに懲りすぎるような教師が出たときには、適度にさましながら進めていっているようだ。いずれにしても、岩崎教諭がトップダウン・ボトムアップ、アメとムチのさじ加減をうまくとりながら、全体を見通して進めていっていることが成功の秘訣だろう。



いずれにしても、最終的には生徒の力がどうつくのかを教師一人ひとりがそれなりに感じとれたからこその今の姿だろう。

一度、学校をおとずれてみてはいかが?いつもオープンなので歓迎してくれるはずだ。




コメント (2)

こばやし:

次回、是非いきたいです。中川先生、岩崎先生、よろしくお願いします。

岩崎:

小林先生お待ちしておりますよぉ。
今月29日は午後から校内研究会です。6人ほどが公開授業をされ、そのあとに中川先生にも指導として入っていただきながら研究協議をします。

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2005年10月24日 17:19に投稿されたエントリーのページです。

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