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第八十九話:普通教室でのICT活用、なぜ日常化しないか(後編)

 ICT活用の日常化を考える上で、活用効果を追究することは、当然ながら重要なことである。しかし、一方で、準備に手間がかっかたり使いにくい状況であると、日常的な活用にはつながらない。抵抗感を感じるような意識がなくなるようにすること(透明性)が重要である。特に情報担当リーダを中心に校内のICT環境整備などを考慮しないといけない。



透明性の追究1:手軽さ

 手間をかけないちょっとした工夫のおすすめも必要だ。例えば、最近のプロジェクターは性能が良くなっているので、三脚のついたスクリーンを使う場所まで運ばなくても、壁があれば十分にそのままうつせる。黒板に写したっていい。「スクリーンも準備しなければならない」と思ったとたんに敬遠する教師もいる。
デジタルカメラだって、撮った画像をパソコンに入れなくても、テレビにはすぐ映せる。こういうことも知らないで、「パソコンにとりこまなくちゃならないなら使いたくない」と思い込んでいる教師もいるかもしれない。また、大きくすることの効果はデジタルだけではない。紙で大きくできるのであれば、掲示したり書き込んだりできるので、大判プリンタがあるのなら、これも活用したい。



透明性の追究2:いつも使える状態

 たしかに、効果的ではあるICT機器も、準備等に大変な負荷がかかるなど、使いにくい環境にあっては何にもならない。たとえば、デジタルカメラはいつも使えるように充電されているだろうか。使い終わったクラスが充電するような、あるいは、使い終わった電池入れがあって後で担当が充電しておくような「システム」が確立していればすむことだ。また、各階に1台しかないプロジェクターはいちいちケーブルをつなぐのが面倒だという教師も少なくない。だったら、カートにひとまとりにしておいて、DVDデッキなどとつないだままにしておく。これだと、教室にひっぱってくるだけで、電源を入れるとすぐに使える。また、高学年だと、このような準備を係の子どもにしてもらうことも良いかもしれない。



透明性の追究3:軽重

 学校によっては、よく使っている教師とあまり使っていない教師の差が明らかになってくることも少なくない。このような時に、わざと使っていない学年や学級のところに、数が限られている機器(プロジェクターなど)を常備させ、活用の活性化を促している学校がある。一方、限られている機器だからこそ、使っているところに常備させ、校内研究会や保護者会で状況を公開している学校もある。いずれのやり方が適しているかは、その学校の実情にもよるので、一概には言えないが、いずれにしても台数などが限られている場合は、より活性化するための工夫が必要であることは確かだ。



透明性の追究4:慣れ

 どこに置いてあるかが重要である一方で当然のことながら、ICT機器等と子どもたちをどのようにかかわらせるのかというのは大きなポイントだ。例えば、電話やFAX。改築したある学校では職員室ではなく図書室にFAXが置いてある。使うときの敷居の低さという点ではこの効果ははかりしれない。しかしながら、まだ普通の学校ではFAXは職員室にあるだろう。置き場所は職員室でも、「どのように子どもたちとかかわらせるか」でだいぶ状況は変わってくる。また、子どもたちの使う頻度が増すと、故障する可能性も高くなる。しかし、使い方の指導は大切だがこれを言いすぎると、担任の教師は使わせにくくなる。「壊したら直せばいい」くらいの構えでいたいものだ。



 いろいろと述べてきたが、情報担当リーダの役割は重い。具体的な授業場面で子どもたちの姿で効果を示す事は何よりも大事なことだし、日頃、使う安くしていくのもリーダの采配がものをいうことが多い。最後に述べた「慣れ」にしても、使いはじめのバイアスはいつしかとれて、どんどん効果が見えてくる事がある。活用の効果はともかく、ここまで使わせる辛抱が情報担当リーダには必要になってくる。

 また、パソコン等のICT機器はできるだけ身近にあることが望ましい。 十分なコンピュータの台数がある学校はほとんど皆無だろう。それでも、 校内にあるコンピュータの一部を空きスペースや廊下などに配置し、わざわざコンピュータルームまで行かなくても子どもたちが 「ちょっと使える」 環境を保証している学校がある。 調べ活動などでは、
何も全員がコンピュータを使う場面だけではない。 使いたい子だけが使えれば良い。教科に関連するデジタル化教材もこのような身近な環境で活用するのがベターだと考える。

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2007年02月04日 22:22に投稿されたエントリーのページです。

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