パース5日目の訪問校3校のうちから、Churchlands Primary Schoolをご紹介する。今回の訪問ではじめて国語の中でのメディアを位置づけた授業を見ることができた。
国語の担当は、Jennifer Kennedy先生。アワードもとったことのあるベテラン教師だ。クラスは30人であるが、Year6とYear7の混成クラスだ。Year6の人数が少ないためにとなりのクラスの同様の日本でいうところの複式になっている。
学年では割っているが、個々のレベルにあわせて、複数の課題を提示することが多いという。しかし、参観した授業については、同じテーマで行っていた。
必須である国語は毎日2コマ(1コマは原則40分)あるようだ。
参観した授業は、国語のViewingの授業。この小学校でも、国語の1/4の時間をかけてViewingを行っている。ちなみに、残りの3/4は、日本での国語に領域としては似ている。
授業のはじめに、記事の読み合わせを行ったようだ(残念ながら、間に合わなかったので、Jennifer Kennedy先生が説明してくださった)。
ドイツの女性がパラグライダー中に積乱雲(上昇気流)に巻き込まれ、上空まで上がってしまい、凍えてしまったが、無事生還できたという話の新聞記事を見せ、
「なぜこのような写真を使っているのか」「なぜこのような見出しなのか」などについて分析させた。
この手のことはどうやらショートスパンでViewingの時間に行っている。Viewingでは、毎回の積み重ねと、次に示す大(中)単元をうまく組み合わせているように思えた。
次に、1枚の写真(土曜日の地域新聞に載った写真:シアトル警察の警官が、路地で黒人の子どもに話しかけている場面)を配布して、この一枚の写真から想像したことをまず書き出させた。その後、3人グループで話の構成を練らせる作業に入った。構成を考えるにあたって、グループに1枚「ストーリーボード」とよばれる6−9カット分がかけるワークシートを配布。一人一人異なった想像の書き出しから話し合いで1つにまとめることに。まさにD-projectでいうところの「建設的妥協点」を見いだしながらの活動となる。このような協調性を育む活動をJennifer
Kennedy先生はとても大事にしているようだ。もっとも、なかなか時間がなくて、共同作業は大変のようだが。
最終的には、これをムービーに仕上げる。ただ、先に示した写真を6シーンのうちのどこかに入れるように教師が再度が確認。
内容からいくと、バイオレンス的な内容に流されがちな子どもたちだったが、「女の私が夫といっしょに行って楽しめるような内容にしてちょうだい」と、なかなか高度(?)な注文を子どもたちにつけていた。
このように、映像と言葉を何度も行き来させるような活動は、日本でも国語の学習内容として各学年で随所に扱っている教科書もある。ただ、系統的に組み入れられているとは言いがたく、つながりがまったく見えない場合が多い。しかし、現実には(日本の国語でも)このような内容が多く入ってきているわけなので、スパイラルにレベルアップしていく見通しを教科書や指導書で示す必要があると思う。
オーストラリアのように、国語の領域にViewingが位置づけられ、「話す・聞く」「書く」「読む」との関係を明確に示してあることが理想だとあらためて思った。